ASEANのオン・ケンヨン事務総長との会合
[2004年08月25日] [「技術立国」再び] [コメント (0)] [トラックバック (0)]
8月24日、今日はASEANのオン・ケンヨン事務総長との会合がありました。ジャカルタの事務局から事務総長含め4人の方が訪日され、私たち超党派の議員7-8人と意見交換を行いました。
ご存じの通り、ASEANは政治・安全保障、経済、社会・文化の多くの面において日本にとって大変重要な地域であります。5億の人口を抱え、日本にとって大切なシーレーンに位置します。また、経済面では日本にとりASEANは米国に次ぎ中国、EUと並ぶ貿易相手であり、東アジア地域で最大の投資先でもあります。ちなみに身近なところでは、日本に輸入されるカーステレオの6割、コードレスフォンの7.5割、天然ゴムのほぼ10割がASEANから来ています。また、日本からの旅行者もEU、米国とほぼ同程度でASEANにとっては域外で最大の旅行者数となります。
事務総長のお話の中で感じたのは、多様な国家の間で様々な問題を抱えつつも、共通のアイデンティティー形成とコミュニティ構築に着実に前進しているなという点です。例えば情報共有なんかにしてもカンボジアやラオス等が他国に比べ全く準備ができていなかったりしますが、ASEANの平和、自由に向けて東南アジア非核地帯の設立条約を結んだりと共通の方針が固まりつつあります。また、日本に対しては特に金融面でのサポートに高い期待を寄せていました。確かに、アジアの通貨危機への対処やアジア債券市場育成において日本が建設的な役割を果たしてきています。私は、この日本の建設的役割を東アジアの経済および安全保障の分野にも拡大していきたいと考えております。
短い意見交換の時間の中で、私からは「ASEANと中国の関係」について以下の二つの質問をしました。
> ASEAN-中国間のFTA(自由貿易協定)に対する域内産業の懸念、対策について
> 中国のWTO加盟によってASEAN向けの外資が減ることへの対処
質問を補足しますと、最近におけるASEANのFTAに対する取り組みは非常に積極的で、中国だけでなくインドとも交渉を進めています。但しASEANと中国は産業面で相互に競合する分野が多く、(WTOでは途上国間のFTAには制約が緩和されているものの)内外で競争する域内産業の懸念は相当あると思われます。そこをどうまとめたのか、産業構造をどう改革していくか等、日本自身人ごとではなくASEANの取り組みは参考になると考えました。
また、中国のWTO加盟については、ASEANにとっては輸出市場のみならず外国からの直接投資の奪い合いも厳しくなります。現に通貨危機や構造問題の顕在化で減少しつつあったASEAN向けの外資に比べ、高成長とWTO加盟を見越して大幅に増えていた中国向けの投資額との格差は拡大する可能性があります。
事務総長の回答としては、FTAをあくまでも「市場へのアクセス」と捉え、市場拡大によるプラス効果の方が大きいと考えているようでした。その点、基本的に「守り」の日本とは対照的な「攻め」の姿勢が伺えました。ただ一方でやはり不安な面もあり、ASEANもサービス産業の拡大を進めなければならないとのコメントもありました。
中国のWTO加盟については、増加する中国向けの投資による生産が中国市場向けであればそれ程影響はないが、世界市場であればASEANは競合するとの事です。(確かに、ASEANの対中国貿易は現状全体の約一割程に過ぎません。)また、域内投資が中国へ逃げる影響については、ASEAN内での投資環境を早急に整えるとの姿勢でした。ただ私の印象として、事務総長がシンガポール出身だったせいか、経済発展に外資が不可欠となるインドネシア、マレーシア、フィリピンやタイといった各国が強く感じているであろう心配といったものがそれ程感じられませんでした。確かにASEAN内でもシンガポールは都市国家であり対中投資額も高く、外資が奪われるというより自分たちの対中投資が増やせるという楽観的観点の方が比較的強いのかもしれません。
アジアの情勢や産業構造は今後大きく変化する可能性があります。そろそろ私たちも、その流れが国内に押し寄せるのをせき止めるような消極的姿勢でなく、流れをリードするくらいの前向きな姿勢で向かっていこうと思います。
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