関西電力美浜原子力発電所事故の中間報告を聞く
[2004年09月28日] [政策 | 「技術立国」再び | エネルギー] [コメント (0)] [トラックバック (0)]
5人の方が亡くなられ、6人の方が重傷を負われた美浜発電所の蒸気噴出事故について、9月27日付けで原子力安全・保安院(以下、保安院)の事故調査委員会(以下、調査委員会)の中間報告(中間とりまとめ)が提出されました。
それに際して、保安院の担当の方から説明を受ける機会を得ましたので、所感を述べさせて頂きたいと思います。
.事故を管理体制の問題だけで済ませるのか!
中間報告を読み、担当者の説明をお聞きしたのですが、調査委員会は、今回の痛ましい事故は「関西電力をはじめとした、三菱重工、日本アームの3社の管理体制に問題があり、関西電力の品質保証・保守が適切でなく、機能していなかったこと」に起因していると判断し、単なる「管理体制の問題」だけで済ませようとしているのではないかと思われます。
中間報告では、今後の対策も、検査体制の充実といったものになっており、これでは本質的な対策になっていないと思います。
また、今回の事故は、単なる検査漏れに起因するのではなく、もっと根深い問題が横たわっているのではないでしょうか。
その問題の根深さが垣間見れる点を5つの疑問点として挙げてみたいと思います。
(1)そもそも検査リストが正しいかどうかを、定期的にチェックする管理体制でなかったのではないか?
中間報告によると、今回の事故の最大の原因は、関西電力が検査リストの抜け漏れを見逃してことにあるとされています。検査リストの適切性については、品質管理の世界でも注意が向けられており、品質管理の国際標準ISO9000では、検査リスト自体のチェックをする体制を義務付けています。
ところが、美浜発電所では、国際標準となるような品質管理方法を採用していなかったとのことでした。
因みに、保安院担当者の話では、他社の発電所の検査システムは、昨年よりISO9000を導入しているとのことです。
(2)海外の事故事例に関する情報が十分活用されていなかった?
保安院では、人員を米国の原子力機関等に派遣し、情報交流を行っています。また、保安院担当者の話では、同様の配管破裂事故事例であるサリー原子力発電所事故(1986年、米国バージニア州)等の事例を参考に、電力業界と資源エネルギー庁で管理指針を策定したとのことでした。
しかし、中間報告では、関西電力と管理会社がその管理指針を採用していなかった等のことが書かれており、海外の事故事例が教訓として十分活かされていたとは思えません。
(3)現場の安全意識の低下に対する対応が不十分ではなかったか?
ここ数年の間、石油精製所、タイヤ工場、造船所などで相次いで火災事故が発生しています。
その原因としては、現場を切り盛りしていたベテラン社員の退職に比例して、現場における安全意識とノウハウが低くなり、マニュアルさえ守ればいいとの雰囲気が充満していることにあると聞いています。
私は、近年相次ぐ工場や発電所における事故は「検査制度・体制の問題ではなく、現場で働く方々のモラルの低下にある」と考えています。
このような状況に対して、関西電力や保安院は何か対応を考えていたのでしょうか。
(4)なぜ、関西電力だけが問題を起こしているのか?
他の電力会社も同じような配管減肉の検査を行ったのですが、関西電力の発電所ほどの問題は発見されていません。これは不思議なことです。
(5)衆議院経済産業委員会で、関西電力の藤社長が検査担当者の研修をするといっているが、その詳細はどうなっているのか?
2.行政と経営者の責任について
(1)行政の責任はどうなっているのか?
中間報告を読むと、関西電力と検査会社に責任があるという論調のように思われますが、私は行政の責任も大きいと思います。
それは、中間報告において、なぜ保安院が欠陥だらけの関西電力の安全管理体制をチェックできなかったのかということについて言及していないことが如実に物語っています。
最終報告では、この点を明確にしてもらいたいと思います。
(2)経営者の責任はどうなっているのか?
当事者である関西電力は、被害に遭われた方々への補償責任は当然あります。
それと同時に、社長以下、直接経営に携わっていた経営者の責任が問われるのも当然です。
また、関西電力の社外取締役の方々も一定の責任があるのではないでしょうか。
彼ら社外取締役は、会社のガバナンス(統治)に外部から関与し、一定の責任をもつべき方々のはずです(企業の安全に対する責任をどう考えているのでしょうか。一度直接伺ってみたいと思っています)。特に、電力会社は公益事業として高い公益性を持っていますので、安全への配慮も他の企業以上に求められていると思われます。このような公益性の高い企業である関西電力であればこそ、社会取締役によるガバナンス(統治)が、きちんと機能していなければいけないのではないのでしょうか。
明日は、美浜発電所の事故現場に向かいます。
引き続き詳細をレポートしたいと思います。
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