FTAと農業改革
[2005年03月02日] [外交 | 日記] [コメント (2)] [トラックバック (1)]
今日は私たちが事務局をつとめている経済外交チームで農業改革について議論しました。
WTOやFTA交渉の際には農業をどうするかという点がやはり重要なカギになります。
講師として経済産業研究所の山下一仁氏より大変貴重なお話を聞かせてもらいました。
以下が概要となります。
1.なぜ農政改革が重要なのか
○GATT24条で「実質上全ての貿易自由化」とあり農業も自由化
○輸入枠の拡大か関税の大幅減少の選択肢
○終戦時7000万人の人口で14百万人いた農業就業者が今は1億3千万のうち3百万人へ
2.日本の農業保護の構造と原因
○農業保護は高くないが保護の仕方が間違っている
○ゼーリックが来て「日本はNoとしか言えない」とのコメントをしたように最も農業保護主義的との印象
○日本は一部の項目だけ突出して関税率高い
○EUは1992年に消費者負担から納税者負担へと改革
○酪農、砂糖の二分野が改革(支持価格大幅下げ)されればEUのPSEは更に下がる
○所得=売り上げ(価格*販売量)-コストであり農業の規模拡大等によりコストを減少させれば農業所得を確保できるはずだった。しかし実際は米価を上げてコメは過剰生産となった。
○一方、麦等は価格を上げず農業資源は他の作物に向かわずに生産量が下がり自給率が低下した。
○またコストの高い農家も高いコメを買うより自ら作る方が安上がりのため零細兼業農家が滞留
3.改革内容
○直接支払いのメリットは対象をしぼることができる
○間接的な政策は副作用を伴う
○構造改革のために米価を上げるか下げるかの選択
○直接支払いにより土地価格向上し、その分が零細農家へ
○効果としては約5兆円の消費者負担分が削減
○関税ゼロの場合でも直接支払い所要額は約1.7兆円(現在の農業予算は約3兆円)
○戦後は傾斜生産方式で石炭から化学肥料をつくり米価を下げても増産を達成した
○EUは農政改革に積極的な姿勢であり、改革を行ってからWTOへ臨むというスタンスだが日本はWTOで攻められてから対策を考えるというスタンス
その後活発な質疑応答も行われました
Q:1.7兆円の直接支払いという案があるが民主は2兆円で自給率60%を目標にしている。
株式会社、定年退職者等にも新規参入を認めるべきだと思う。
A:規模の拡大によりコストが下がる効果を見越して1.7兆円という試算。改革の課題は農地をいかにして確保していくかという点(長野県の農地も東京都の農地であるという視点が必要)
集落営農は全国に9000しかない。専業農家もいるから農業が守られているのでなく、リーダーがいない集落営農は機能しない。担い手がいないと集落が成り立たない。しっかりした担い手を作る方針が必要。
Q:自給率の中身は食の安保の観点も必要である。
A:今までは農地の荒廃に手立てをしてこなかった。農地のゾーニングという方針もあり、ヨーロッパでは都市・農村の線引きが明確である。過去の農地改革は農地を農地として維持するという方針があったからできた。今までも農地を転用したのは株式会社でなく農家である点にも注目すべきである。
Q:農業の関税5兆円はどこへいくのか。
A:米価が高くなれば化学肥料や農薬も高く維持できる側面もある。直接支払い制度のように対象を絞るのは政治上は最大のデメリットでもある。
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トラックバック時刻: 2005年04月17日 22:30
コメント
日本は戦後アメリカに「イエス」ばかり言ってきた。対米追随政策であった。ところが最近、「ノー」ばかりだ。凄いアメリカに「ノー」といえる日本人がいたのだ。・・・・・農業関係のひとたちだ。農家は強い。終戦直後も強かった。戦前は、小作人で、地べたにはいつくばっていた人たちがいきなり大富豪になってしまった。マッカーサー様様だった。大地主が没落。敗戦の結果が小作人の土地取得であった。アメリカを受け入れた要因の一つであった。多くの農民が市民権を得たのである。食糧難克服のための徹底した農業保護政策も行われた。・・・・・そして農民は強くなった。外圧であるアメリカの農業政策を拒否したのだった。アメリカに「ノー」といえる日本人が出現したのである。農民である。
投稿者 野澤保博 : 2005年03月03日 21:35
FTAにおいて農業の競争力強化は大きな課題です。
私は、いろいろな方の話をお聞きし、また、文献を読んで、「農業政策をきちんとやれば」日本の農業は必ず強化できると思っています。
FTA戦略の案は出来ています。はやく党内でオーソライズして公表したいところです。案を通すのが大変だと思いますが。
投稿者 藤末健三 : 2005年03月07日 15:37







