明日、省エネ法の改正の審議
[2005年07月25日] [日記 | エネルギー | 講演] [コメント (1)] [トラックバック (1)]
明日、省エネ法改正案の審議です。
質問や説明資料のセットで午後は終わりました。
今回の省エネ法の改正は、
地球温暖化防止に関する京都議定書の発効を踏まえ、各分野におけるエネルギー使用の合理化を一層進めるため、
1.エネルギー消費量の伸びの著しい運輸分野における対策を導入するとともに、
![]()
(出典:日本政府)
2.工場・事業場及び住宅・建築物分野における対策を強化する等の措置を講じます。
![]()
(出典:経済産業省)
なかなか画期的な法案です。
明日は、エネルギー政策と地球環境政策全般に関する質問をやります。
以下、私が省エネ法改正について講演した内容です。
2005年、京都議定書が発効した。我が国は非常に大きな対応を取らなければならない。昨年1月までは私も東大助教授として環境の研究をやっていたが、今は国会議員という立場で環境に関わっている。今日は官の立場から話せということなので、まだ検討途上だが日本がどうCOP3に対応して行こうとしているか話をしたい。まず我が国のエネルギー消費状況を見てみよう。
エネルギー消費量は、1965年以降着実に伸びてきた。第一次及び第二次石油危機の時はエネルギー消費がぐっと落ちている。しかしエネルギー消費は落ちながらも経済成長は進むという頑張った時期でもあった。消費の中身はどうだろうか。
産業部門が消費量全体の50%を占める。あとは民生部門と運輸部門が半々である。しかし産業部門は省エネ努力と思うが第一次石油ショック以降はあまり量は増えていない。COP3の基準年1990年から2002年迄の12年間のエネルギー消費は民生部門の伸びが最も大きく1.3倍になっている。一方、運輸部門が1.2倍、産業部門は1.1倍である。民生部門と運輸部門の伸びが顕著である。
現在、国会において省エネ法の改正作業が進められ、審議の真最中である。あまり新聞報道されていないが、省エネ法の大きな変革になりそうな点を紹介しよう。またその中で環境プランナーの位置付けも益々重要になってくると思う。特に企業の温暖化への対応という観点から環境プランナーの役割について後ほど述べてみたいと思う。
COP3達成の見通し 図はCOP3への対応の考え方を示したものである。どうすればよいかということはまだまだ議論されていない。1990年比▲6%が削減目標、2002年は1990年に比較して実質7.6%も増えてしまった。2002年の実績からは実質的には6.0+7.6%、13.6%減らさなければならないのがCOP3のインパクトである。諸氏には、13.6%も減らせるものかと思われるだろう。ただ、細かいところ迄見ると、原発事故による長期停止による影響分が2.3%あるため、その分を差し引くと11.3%のギャップになるということである。
現行対策だけでいくと2010年はどうなるか、予測+6%で12%の差が残る。但し森林吸収などによる吸収源対策▲3.9%が加算される見込みになっている。科学的根拠が必要だが、12%を実現するためには欠かせない。12%から吸収源3.9%を引き、残りをどう対策するか。ひとつには「京都メカニズムの活用」、JI(共同実施)やCDM(クリーン開発メカニズム)で1.6%はいけるであろう。言い切るにはまだ問題はあろうが日本の枠として考えて良いと思う。
更に代替フロン等の温室効果ガス対策で1.7%。結果として残るのは4.8%だ。この4.8%が克服できればCOP3の目標は達成出来る…というのが現状での読みである。報道では13.6%という数字が一人歩きしていて、達成は至難か!?などと言われている。細かく見て行くと実質的には4.8%の減少対策が必要なのである。「エネルギー起源CO2の排出抑制」ということなので、省エネの推進、新エネの導入を考えるということである。実際にはクリーンなエネルギーとして原子力発電稼働率向上、火力発電熱効率の向上、新エネルギー導入等、供給部門で1.9%位は減らせるのではないかと言われている。
一方、需要部門においても減らす努力が要る。資料には産業部門:製造業の大規模省エネ設備の導入推進、民生部門:高効率給湯器の普及促進、運輸部門:荷主と物流事業者の連携促進等といった項目が上がっている。需要の削減つまり産業、民生、運輸にわたる省エネ対策▲2.9%が重要なのである。省エネ法の規制強化のため、今国会で議論されているところである。
省エネルギー対策の抜本強化 省エネ法の評価という意味では相当力強いものがあると私は思っている。具体的に説明しよう。エネルギーの使用合理化については、工場・事業場での省エネ、住宅・建築物の省エネに加えて、新たに2項目が新設される。一つは運輸部門における省エネ対策である。運輸部門はこの12年間で約30%、CO2排出量が伸びているからだ。運輸部門の省エネについては後述する。
もう一つは消費者も省エネを進めることである。ライフスタイルを変えなければいけない。例えば家電品の小売店は年間でどれ位省エネできるか、省エネ効果を表示するなどして省エネ機器の普及を図るということである。省エネ機器普及の動きは、ホームページ“http//www.fujisue.net/”をご覧頂きたい。
住宅・建築物分野の省エネルギー対策の強化 非常にインパクトが大きいので、企業の方はぜひ憶えておいて頂きたい。いま議論されている省エネ法、住宅・建築物分野はどう変ろうとしているか。現行、住宅は省エネ法の対象から外され、建築物(非住宅)の新・増改築だけが対象である。従ってオフィスビルは新築・増改築時のみ省エネ対応であったが、改訂後は大規模改修時も対象にしようということ、もう一点大きなことは大規模住宅(マンション等)も対象にし、新築、改築、改修時に省エネ対策をとって貰おうということである。断熱材、窓等について仕様の届出をしなくてはならなくなるだろう。細部の内容は省令、政令で決められることになろう。
運輸分野の省エネルギー対策 まず輸送事業者は「省エネ対策計画を策定する」、計画を年一回所管省に提出し、そして結果を報告する、それが義務付けられる。次に輸送業者だけではなく、大口の荷主(輸送㌔tが、何十億㌔tなどといった製造業)へも省エネを義務化、年一回の計画と報告が求められよう。
この話は非常にインパクトが大きいと思われており、実際の省エネ対策を推進する場合は恐らく相応の知識がないとやっていけないだろう。そういう時に環境プランナーが、運輸分野のエネルギー対策、住宅分野の省エネ対策のアドバイスが出来るようなことがあり得るのではないかと思われる。
基本的には計画策定、届出と報告ということにはなっているが、実際のノウハウにはなかなか蓄積し難いものがあると思うので、この点からも環境プランナーが必要とされるのではないだろうか。
エネルギー管理指定工場の拡大 更に大きな話として、事業者における総合的な省エネルギー対策の強化が目論まれている。現在は一定の規模以上のエネルギーを使う事業場に電気管理士、熱管理士を置くことになっている。別々に管理している電気と石油を統合して管理できるようにしようというのが今回の改正案である。製造業の業種別エネルギー使用量は、鉄鋼が1/4、化学が1/3、素材関係1/4が主なところだ。省エネの観点から石油、電気の使用を管理する人が統合されると、新たに第1種エネルギー指定工場となるところが増えてくる。また、今までは省エネの管理者を置く必要が無かったところも統合化により新たに省エネの対策を取らなくてはならないところも出て来るだろう。因みに電気使用量が750kl(石油換算)のエネルギーを使い、熱で800kl使うところでは従来は対象外であったが、合算すると1550kl、新しい省エネ法のもとでは第2種の対象になる。結果として省エネ法対象の指定工場、事業者は10,000件から13,000件に、カバー率が70~80%になる。省エネ法に対応すべき範囲が広くなるということである。このように省エネ法が強化されようとしているわけだが、まさしく電気と石油の消費削減がテーマである。
環境プランナーの役割 しかし、先ほど言ったように運輸の話、住宅ビルの話も出て来るだろうし、更に大きくJIをどうするか、CDMをどうするか…という話も恐らく将来的には出てくるのではなかろうか。企業における省エネ、温暖化対策をどうするかというような総合的な観点から、環境プランナーの仕事が出て来ると思う。
施行期日は平成18年4月1日、政令、省令で細部が決められるだろう。恐らくこの法律を実行するに当たっては、専門的知識のある人、総合的に見られる人が居なければ省エネ対策、温暖化対策は進まないと思う。COP3展開も含めて環境プランナーの位置付けを考えるべきではないかと思っているところである。
4月に施行になった環境活動促進法(環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律)、企業の環境に関する情報を環境報告書等でどんどん情報開示しようということで進められている。これだけでも環境配慮型でCOP3、温暖化対策をどうするかという話が出てくるのではないかと思う。
私は東京大学にいる頃から環境プランナーの立上げと役割をどうするか検討して来たメンバーの一人である。当時はまだ環境に対する対応は世の中で余り進んでおらず、環境会計や環境報告書の概念も殆どない状況の中で動いたわけである。しかしどんどん企業の環境への取組が進んで報告や開示が進んできた。
また、大きなインパクトとなったCOP3だが、企業が地球温暖化対応にどう取組んでいるかを見せることが重要なのである。先ほどの法律では石油の消費量、電気の消費量、またビルがどう省エネ対策をしているか、運輸面における温暖化ガスをどう減らしているかなど様々な話が出てくるわけだが、恐らくこのままではバラバラと議論が進むのではないかと思う。やはり企業の地球温暖化防止対策に対する対応を総合的に考える、見せていくという役割が重要ではないかと考えている。
(長文でかつ図がなくですみません。)
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.fujisue.net/MT3/mt-tb.cgi/3814
このリストは、次のエントリーを参照しています: 明日、省エネ法の改正の審議:
» 株取引は政治家・官僚の義務 from 為替王
先日のある新聞記事で木村剛氏の切れ味鋭い主張が載っていました。
経済産業省の官僚がインサイダー取引をやったことは、記憶に新しいと思いますが、その後、同省は全職... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2005年07月27日 09:36
コメント
もう一点。
省エネ教育というのが軽視されていますが、これが実は民生部門の重要なポイントだと考えます。
腐りきった(笑)大人より、ピュアな小学生などが省エネ努力することにより家計部門の省エネが進むと思います。
私もマンションでも「環境のためにアルミ缶を集めよう!」なる手書きのポスターが貼られ、小学生が頑張っているようです(これは3Rの観点ですが)。
自分でやらなくても、子供が言えばやるお父さんお母さんもいるのではないでしょうか。
その点の普及啓発も何とかうまくできないかなぁ、と思います。
例えば、担当者や元担当者の有志をボランティアで学校に派遣して総合学習などで環境問題を語るのも非常に良いことだと思いますが。
投稿者 ハーデス : 2005年07月26日 00:33







