ホームレス全国調査を問うシンポジウム
[2006年07月04日] [日記] [コメント (0)] [トラックバック (0)]
標記の会合(研究会)が国会議員会館で開催されましたので参加して、話をお聞きしました。
厚生労働省は、本年末までに「ホームレスの実態に関する調査」の内容を検討し、来年1,2月に実態調査を行い、そしてホームレス自立支援法の見直しを来年検討するとしています。ちなみに、平成15年初頭でホームレスの数は2万5千人(大阪府(7,757人)、東京都(6,361人)、愛知県(2,121人)となっています。この調査への提言を行うためのシンポジウム/研究会です。
ホームレスの問題は、大学で「政策を創るゼミ講義」をやっている中で、学生が政策テーマに選び、学生自身が実際にホームレスをしている方々から話を聞いてきて報告し、また、対策を創ってくれましたので、少しは知識もあります。
同時に、わが国の大きな問題として政治家として対応すべき問題だと考えています。
以下に学生たちと議論した概要をお伝えします。
〇ホームレスの背景
ホームレスの人々の中で最も多い50~64歳の年齢層が就職し始めた時代にあたる高度成長期においては、都市圏における労働力不足から地方から都市部への労働力の移動が起きた。これに伴い核家族化も進んだ。この結果、都市部へ移動した労働者たちにとって地域コミュニティとのつながりや親戚などの血縁との関係は薄れ、それまでセーフティネットとして機能していた、地域コミュニティによるセーフティネットや血縁によるセーフティネットといったものは身近なものではなくなった。これによりセーフティネットはかなり薄いものとなったが、高度経済成長による労働市場の安定と日本独特の雇用形態である終身雇用制度が存在したために、その浅薄化が表面化することはなかった。
しかしその終身雇用制度もバブル崩壊後の不況の中でついに崩壊した。これによりセーフティネットの薄さが顕在化し、労働市場からあふれた失業者を拾いきることができずホームレスの激増に繋がったのである。実際、終身雇用制度の崩壊が起きた5~10年前からホームレスの人々の数は増えている。
現在の社会構造は、労働市場からの転落を防ぐ終身雇用制度が崩壊し、またその労働市場の変化により生まれる失業者を拾うセーティネットも浅薄化し、十分に機能していない状況にあるのであると考えられます。
このことは、日雇い労働者のみならず非常に多くの常勤雇用者までもが、失業と同時にそのままホームレス(スーツ・ホームレスと呼ばれる)になっている現状によく表れています。
ここで、失業をもたらす労働市場の変化には下図に示すように2通り考えられる。ひとつは不況などによる労働市場そのものの縮小であり、ふたつは産業構造の変化による雇用のミスマッチである。ホームレスになる直前の職業として建設関係が約5割を占めるが、これはゼネコン全盛期の1970年代において盛況した建設業界が、産業構造の変化により縮小化された結果とも言える。
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〇対策
学生たちと議論した対策は大きく分けて3つあると考えています。
A:現状対策はホームレスの人々に就労機会を与えることに主眼が置かれていて、新たな雇用を生み出すということがあまり考慮されていない。分析結果によればホームレスの人々のほとんどが、現在の労働市場から溢れてしまった人々であるのに、だ。つまり彼らに就労機会を与えようとしてもそもそも市場自体が残っていないし、仮に押し込められたとしても、マクロ的に見ればその結果別の人が押し出され新たなホームレスとなってしまう恐れがある。ホームレスの方々を受け入れる労働市場を創る必要がある。環境ビジネス、福祉のサポートなど労働力を求めている市場に参加できるような政策が必要ではないでしょうか。
B:職を失ったホームレスの人々がセーフティネットに引っかかりにくくなっている問題点が挙げられる。現制度では、生活困窮者にはセーフティネットとしての生活保護が用意されており、ホームレスはその対象となる権利がある。しかし実際のところ、行政の保護を受けているホームレスはごくわずかである。その理由として、ホームレスの人々の権利意識の低さ、持つ情報量の少なさ、福祉事務所の敷居の高さ、など様々なものが考えられる。しかし結局行政側は対策を用意するだけで、その実行へと到る道の整備をおろそかにしてしまっているのではないか。
例えば、ホームレスの方々にIDを持ってもらい、行政支援の説明を行ったり、ホームレスの方々の能力や活動をきちんと把握できるようすることもできると考えます。
C:一度ホームレスになってしまった人々の生活水準を引き戻す制度が完備されていないことがある。ホームレスの人々がまず訪れるべき場として福祉事務所があるものの、情報の行き届きが不完全であるために、その存在さえ知らない人が少なくない。また、存在を知っていても福祉事務所の敷居が高くて訪れられなかったり、事務所を訪れても実際に福祉を受けることが出来る人はわずか一部であったりするのも問題である。
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また、ホームレスの方々が新しい技能を修得し、新しい職に就くための教育制度などの整備や最低賃金の制限を外し、現在では最低賃金の規制で実施できない仕事を行政の監視下で行えるようにすべきではないかとの議論をしました。
下の図にあるように、最低賃金規制により本来市場で生まれるべき「付加価値が低い低賃金の仕事がなくなっています」。これを特別な規制の緩和によりはずし、ホームレスの方々が対応できる仕事を作ることが可能です(論理的には)。
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ホームレス自立法の見直しが来年検討されます。
どこまで食い込めるか分かりませんが、きちんと見ていこうと思っています。
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