「亜玖夢博士の経済入門」 橘玲著
[2007年12月23日] [日記 | 読書録 | 経済] [コメント (1)] [トラックバック (0)]
基本的な経済学でなく、現在関心が高い出来事に関する経済学を短編小説、ややサスペンス風で書かれています。
![]()
特に行動経済については、
「千円得するよりも千円を損することの方が大きく感じられる」
「1年後の一万円の損失は、現在もらう一万円よりはるかに価値が低い」
これから多重債務者の活動を説明しています。
多くのところでうなずけます。
なお、この行動経済学の大家であるノーベル経済学賞ダニエル・カーネマンの理論で
「Peak-end rule」というのがあります。
過去の快不快の判断はピークと最後の快不快の度合いで決まるというものです。
According to the peak-end rule, we judge our past experiences almost entirely on how they were at their peak (pleasant or unpleasant) and how they ended.
例えば、実験である程度大きな騒音を体験したグループは、騒音を体験していないグループよりも大騒音における不快感が少ないという結果があります。
確かに傍から見て苦労している人は苦労を苦労と感じていない傾向がありますね。ピークエンド理論から理解できますね。
また、ゲーデルの不完全性定理は、閉じた系ではその系の根本の原理を証明できない、ということを使い、自分探しの旅は意味がない、ということを書いています(藤末の誤読かもしれません)。
ゲーデルは、神の存在証明(en:Gödel's ontological proof)を行おうとした人で、私は経済学者というよりも哲学者として知っていました。
なにはともあれ、知的な刺激と印象的な文書を堪能できます。
私はあまり小説は読みませんが、食い入るように読み切りました。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.fujisue.net/MT3/mt-tb.cgi/5522
コメント
まぁ、橘氏のリバタリアン的立場への賛否はさて置くとしても(福祉制度を否定しているくらいですし)、実際問題として金融とか経済への教育は殆ど手がつけられていないって現状がある訳ですからねぇ・・・・・
ここ最近流行りの金融教育にしても先ず株を買え・借金しろって金融ビジネスのためのセールスの場になっていて、肝心のリスク概念とか利子の計算・消費者の権利については後回しになっているから惨憺たるとしか言い様が無いと思うのですけど。化学器具の使い方を教えずに化学実験を行わせる真似しているって、当人たちは気づいているんですかね?
投稿者 杉山真大 : 2007年12月27日 18:04







