輸入版CDの規制強化から学ぶもの(5)−ではどうすればいいのか
さて、前々回と前回の拙文では、いままで皆様から頂いた意見に対する私のコメントを書かせていただきました。政府が提出した著作権法改正案は成立してしまいましたので(6月9日の官報に告示されたので、著作権法改正案は公布されました。)、本日は前回の最後に書いたとおり、廉価な輸入版CDを購入し続けることを可能とするために、これからどうすればいいのかについて、2回に分けて書かせていただきます。1回目の本日は、大きく分けてどのような方法があるかについて考えてみたいと思います。
一番大事なことは、民意が高まること
前回の拙文でも書きましたが、国会の審議というものは、国民の合意形成をその代表の国会議員がしているわけですから、制度的な問題はあれども、民意のバックアップがない方向に審議結果を持っていくことは不可能です。この意味で、日本人はある結果が出てしまうと(今回ならば、改正案が成立してしまうと。)その深刻さを忘れてしまって、次のトレンドに気分が乗り移ってしまうという傾向があると思いますが、これをなくして、本件の規制強化に対して引き続き民意を高めることが一番大事なことだと思います。これをすれば、それこそ次期通常国会(2005年に1月20日頃からの会期になります。)で、再度著作権法の改正を審議することも可能ではないかと思います。
私が留学していた米国には、このような運動をしている国民が多くいたのを記憶しています。国民自体が自分の主張をとことん政治に反映させようという気質を持っているのですが、それに加えて、国民の合意形成を助けるようなインフラ(人、メディア、資金)などがあった気がします。日本では、まだそのようなインフラの整備はされていないと思いますが、薬害エイズ問題のように行政の過ちを国民運動が暴いたような事例も日本にはありますから、全く不可能なことだとは言えないと思います。
とにかく、あきらめないこと、そしてあきらめないだけでなく、外部から政府を監視することで、いい意味での緊張を両者間に産ませることが、国民にしていただかねばならないこと(=国民の皆さんしかできないこと)だと思います。当然、私もそのようなアクションをしたいと思っています。
では、具体的にどういったことをすればよいのかに関して、ここでは2つ書かせて頂きます。
[1] 運用段階の詳細を確認すること
国レベルの規則には多くの種類がありますが、国会で審議が行われるのは法律のみになります。法律を補佐する規則として、法律が定める範囲内で、政令、省令、告示などという国民に公表されている規則があり、訓令・通達などという政府各部局が持つ内部資料(法律などの規則を運用するためのマニュアルと考えてください。なお、この内部資料で外部公開されているものもあります。)があります。法律によっては、法律以下の規則は本当に事務的なこと(例えば、申請書のフォーマットなど)だけを規定しているものもありますが、実は法律のグレーゾーンの内容(それこそが規制としての大切な部分)が法律以下の規則に書かれていることもあります。
この後者の場合、一般に法律が公布されてから(官報で告示された日の事です。)、関係省令などを改正した上で、法律が施行(法律の内容が実施されること。)となります。今回の著作権法改正の場合、2005年1月1日が施行日ですから、この日までに今回の改正に関係する関係省令などが整備されると思います。この運用段階の詳細としての、関係省令の詳細を確認することは、実際に法律の内容がどう実施されるかということに直接関係してきますので、非常に重要なことです。一番大事と書いた民意を高めることは漠然とした話かもしれませんが、これは具体的に何をやればいいかは、比較的に簡単にご理解頂けると思います。
[2] 訴訟をおこすこと
それ以外にやるべきことといえば、やはり(行政)訴訟だと思います。皆さんは、小中学生の時に、「三権分立」ということを習ったと思いますが、日本でこの三権(国会・行政・司法)は分立していると思いますか?私としては、行政優位というのが現状であり、司法に至っては、殆ど機能してないというのが実感です。私たちは、もめごとやよくないとか、米国の訴訟社会は醜いとかいうことを今までの教育から暗に習ってきたと思いますが、それイコールおかしいと思うことを白黒つけるために、裁判所に駆け込んではいけないということではないと思います。
以前にも書きましたが、現代の日本は以前の日本に比べものにならない位、多様化が進んでいます。そうすれば、いいわるいを一意的に法文が決めたり、行政が決めたりすることができなくなる世の中になるはずです。(これは行政が悪者というわけではなく、そういう性質の社会になってしまうということです。)現に、昨年には通信事業社5社が、主官庁の総務省を訴えるという世の中にまでなりました。(この裁判の結果はまだ出ていません。)小泉政権は、司法制度の改革も行っているくらいですから、司法制度にも問題があるのは事実で、個人が行政を訴えても思うように行かないのが実情ですが、訴えるというオプションが奇異に見える社会はもう終わりに近づいていると思います。
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政策
2004年06月21日 22:37 by Kenzo Fujisue