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貿易収支赤字を克服するため、イノベーションとグローバリゼーションを進めるべき

財務省が公表した平成23年度貿易統計速報では、

平成23年分については、輸出は自動車、半導体等電子部品等が減少し、対前年比2.7%の減少となった。また、輸入は原粗油、液化天然ガス等が増加し、12.0%の増加となった。その結果、差引額は▲2兆4,927億円となった。」と貿易収支が31年ぶりに赤字になりました。

tradedeficitofjapan2011.png

 

東日本大震災で工場が被災し、サプライチェーンが切れて、輸出が減り。一方、原発事故で火力発電用の燃料輸入が急増し、輸入が増えたために赤字になったと説明されている。
しかし、私はこの貿易赤字基調が続く可能性があると見ている。円高の定着で製造業は中小企業も含め海外移転を進めている。この動きはなかなか止まらないと思う。東南アジアに進出しようと決心した経営者は私の知るだけでも多い。製造業が日本国内からなくなれば貿易赤字にならざるを得ないであろう。

tradecontentsofjapan2011.png

そして、貿易収支の赤字が続けば、所得収支(海外からの配当や金利)も減り、海外との資金のやり取りの合計である経常収支までもが赤字になる可能性もある。(ちなみに経常収支は2011年は10兆円程度の黒字)
経常収支の赤字化については別途書かせてもらうが、財政赤字と経常収支の赤字になれば、日本国債が売れずに価格が下落する可能性もある。

 

貿易収支の黒字を維持するためには、「世界で日本でしかできない製品やサービスを創りだすイノベーションを強力に進め、できた製品やサービスを一気に国際展開する」ことが求められる。

今まさにappleやサムスンがやっていることだ。

エネルギー・環境・農業といったグリーンイノベーションや医療・介護といったライフイノベーションにおける我が国の競争力は高い。そのイノベーションを進め、できた成果を世界市場に展開する。

是非ともイノベーションとグローバリゼーションを推進する政策を実現していく。

TPPに対する中国の見解

以下は友人から送られてきた情報です。
年末に中国の企業経営者に会いましたが、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への関心は高いものがありました。中国のビジネスパーソンもTPPの動向を見ているようです。

まず、中国のメディアがAPEC首脳会議後にTPPについて伝えているの「中国を入れないアジア太平洋の経済連携はない」という論調です。また、人民網はTPPは米日の相互利益にはならない」と題する論評を掲載しています(日本語版はこちら)。

 
例えば、昨年のハワイAPEC 後、中国外交部の劉振民部長助理は、APECで日本がTPPの交渉参加に向け関係国との協議に入る意向を表明し、TPPが前進したことについて、「APECがあり、東アジア首脳会議があり、現在協議中のTPPがある。われわれは、多様なフレームワークが共存し、相互に補完し合い、相互に影響を与え、ともに東アジア連携に貢献することを希望している」 と述べ、アジアでの連携に複数のフレームワークの併存を認めると同時に、「TPPは東アジアの連携のフレームワーク外にある独立した協議。だから東アジア首脳会議で特にこれを取り上げて議論するということもない」 と述べました。

 

また中国が現時点でTPPへの参加を表明していないことについて、同氏は「われわれは、これまでと変わることなく今ある連携のプラットフォームを利用し、東アジア連携の奥深い発展(中国語で『縦深発展』)を推進する」と述べました。

 

中国広播網は11月14日、専門家の見解として、社会科学院経済・政治研究所研究員のコメントを伝えています。

  • APECで米国がTPPを積極的に推進するのは、今後数年で貿易額を倍増させるため、アジア諸国の貿易障壁を打破したいからだ

  • APECには法的拘束力がなく、思うように貿易自由化が進まないため、APECを利用して協議のフレームワークを決めたいのではないか

  • さらに、中国なしのTPPはアジア太平洋地域を代表できない

と述べました。

 

日中韓FTAの共同研究が先月終わりました。TPPのみならず日中韓FTAもにらみながら経済外交を戦略的に進めることが我が国には求められています。農林水産業政策の抜本強化も待ったなしです。これはFTA/TPPに関係なく進めなければなりません。

GNI大国を目指して

本日の昼、研究会で自民党の林芳正参議院議員(元経済財政担当大臣、元防衛大臣)を講師に経済政策の議論をしました。
林議員は、「GDP=Gross Domestic Production(国内総生産)ではなく、GNI=Gross
National Income(国民総所得)を目指そう」を重視すべきと主張しています。
GNI=GDP+所得収支(海外からの利子や配当、10~15兆円/年)
です。
今後、国内で人口が増えない中、海外市場を開拓し、国内にその利益を還元する政策が必要です。
林議員は
1. 日本人や日本企業が海外で活躍すること
2. その成果を国内に還元すること
3. さらに国内の雇用に結び付けること
を掲げ、
* アジアへの投資を増やすためのアジアワイドの証券や社債市場の育成、
* 投資協定の締結(日本の投資協定数は27、ドイツ136、中国127、韓国90と大きく遅れている)
* 国家戦略ファンド(SWF)の設立
* 日本版401K(年金資金のアジアへの投資)
* 国内における研究開発などイノベーションの推進(国際展開した企業は雇用を増やしいるとの分析がある)
* 医療介護、教育保育などにおける雇用創出
* 投資、知財などにも力点を置いた自由貿易協定の推進
* 大学の国際交流
が必要だと指摘しています。
林議員とは党派が異なりますが、こうした優れたアイデアは、超党派で実現したいと思っています。
参議院がねじれている状況は、次の参議院選挙があるあと一年半は変わらないのですから。

原油価格高騰への懸念

イランへの経済制裁がどうなるか、非常に気になっている。
現在、イランからの原油の輸入量は日本の輸入全体の約1割。すでに石油元売り会社や商社はサウジアラビアなどに代替調達を打診しており、供給量は十分に確保できると聴いている。

しかしながら、イランが経済制裁への対抗措置としてホルムズ海峡を封鎖する事態となれば一気に原油価格は高騰するのではないか。そうなれば、円高や大震災・原発事故の影響で体力を失っているわが国の産業や家計に与える影響は相当大きなものとなる。
日本だけでなく、中東のエネルギーに大きく依存する韓国、中国といったアジア諸国の経済も大きな影響を受けるであろう。

欧州の金融危機も完全には出口が見つかっておらず、欧州の銀行がアジアから資金を引き揚げるリスクも指摘されている。

アメリカやカナダで開発が進むシェールガスに期待する向きもあるが、まだ、日本は大きなボリュームの確保まで至っていない。また、新たなシェールガス田が発見されても、天然ガスに対する需要の増加に伴い、スポットの価格は上昇傾向を続けている。ちなみに、天然ガスのスポット価格は、東日本大震災の前に比し8割以上も上昇している。

東京電力の電力料金の値上げが議論されているが、原油価格がまたバーレルあたり140ドルといったレベルになると、最終的に原油価格上昇が電気代に転嫁され、値上げの幅が大きくなってしまう。これはわが国経済に大きなマイナスの影響を及ぼすことが必至だ。

現在、政府において、長期エネルギー計画の見直し、電力料金の見直し、電力体制の見直しなどが検討されているが、やはり国家戦略として、エネルギーの安定供給を何よりも優先して確保すべきだ。

私は、大規模な自然エネルギーの導入を図り、中東の石油への依存を今こそ縮小すべきだと考えている。

オバマ大統領の一般教書演説における経済政策

ニューヨークタイムズは1月22日付けで「Obama to Draw an Economic Line in State of the Union オバマ大統領は一般教書で経済政策の方針を描画」という記事を載せています。

オバマ大統領がビデオメールa video preview e-mailedで語った経済政策で、今年の大統領選挙を意識したものとなります。(サウスカロライナの共和党予備選挙を意識してビデオメールを作成)
it is all the more imperative for Mr. Obama to define the election not as a referendum on him but as a choice between his vision and the vision of his eventual Republican rival.

1.共和党への対抗軸として、高所得者の課税を増す。
Mr. Obama will again propose changes to the tax code so the wealthy pay more, despite Republicans' consistent opposition.
課税不平等をただすべきというウォーレン・バフェットの税制提言にも触れています。he termed the "Buffett Rule"

2.米国製造業が海外に流した雇用を国内に持ってくることを推進。このため、法人税税制、クリーンエネルギーイニシアティブへの投資倍増、数百万人の長期失業者への労働者教育・トレーニングの改善を行う。
Mr. Obama will flesh out his populist message with new proposals to spur manufacturing, including tax breaks for companies that "insource" jobs back to the United States; to double-down on clean-energy incentives; and to improve education and job training initiatives, especially for the millions of long-term unemployed,

3.中国元安の是正
Mr. Obama is expected to harden his challenge to China to increase its currency's value for fairer trade

先週、米国および韓国の国会議員と話し合う機会がありましたが、選挙の争点として「格差是正」があると一致しました。台湾の総統選挙でも中国との関係だけでなく、格差の問題も争点だったようです。

消費税増税だけでなく、増税した分をどのように使わせてもらい、安定した雇用と生活を作るかを我々もきちんとメッセージを出していかなければなりません。当然、増税の前に議員定数削減と公務員給与削減を実現しなければなりません。

欧州危機について

欧州の金融危機に関する主に欧米の論調を見ていると、フランス、イタリアなどの国債の格付けが下げられたことで、各国の国債金利が上昇し、財政支援のための欧州金融安定基金の資金が不足する懸念が高まっているように感じます。ECBは直接国債を買えないため、民間銀行を通じて格付けが低い国債を、CDSを使って買い支えるよう指示をしているとの話も聞きます。事実だとすると非常にリスクが高いやり方をしていると思います。

 既に、ヨーロッパ銀行の株価はリーマンショック時と同じレベルまで落ちていますが、さらに下落する可能性も大きいと言わざるをえません。ユーロ参加各国では、今年前半に、まとまった額の国債償還を行うことが予定されていますので、素早い対応が求められています。

 この危機が中国に飛び火し、中国の減速がアジアに悪影響を与えるという予測もありました。そのきっかけの一つは、中国への投資や融資が大きいヨーロッパの金融機関が中国から資金を引き揚げること、もう一つは、中国経済はヨーロッパとアメリカへの輸出に大きく依存しているため(ちなみに中国は対日本とタイASEANで貿易赤字)、ヨーロッパの経済減速が中国の景気をけん引してきた輸出に影響を与える可能性です。

 いずれにせよ、わが国としてはこうした影響を最小限に抑えるべく、慎重かつ大胆な財政・金融政策が求められています。

国際展開する日本の書店

週末、日本で著名な書店「紀伊国屋」の幹部と話をする機会がありました。

話していて感心したのは、海外展開がすさまじいことです。

まず、ドバイとシンガポールなどに出店しているとのこと。両国の店舗は面積も新宿店の二倍近く、また、社員も20か国くらいの国籍が入り混じっているとのことでした。当然、英語が社内共通語です。多国籍の社員をマネジメントするノウハウは、相当なものがあるのではないかと推察しました。

ちなみに、紀伊国屋のサイトをみると、この二か国だけではなく、アメリカ、台湾、マレーシア、インドネシア、オーストラリアまで出店されています。

紀伊国屋は、海外進出当時は海外に在住する日本人に向けて、日本の情報を提供していくことがメインでしたが、海外で日本語の書籍だけでなく、洋書の販売も手がけていく内にローカルの人たちに向けた英語、日本語、中国語、フランス・ドイツ語などの書籍を広く集めるようになったとのことです。このような書店は世界でも紀伊國屋書店くらいしかないそうです。

例えば、ドバイ店では、国境を越えて、イランやイラクの人たちが本を買いに来るとのことでした。これらの国では英語の本は国内での販売が禁止されているようで、そのため、国境を越えても英語の文献を購入に来るとのこと。

これから日本のサービス業も紀伊国屋のように海外展開が求められると考えます。きめ細かな日本のサービスは海外でも大きな優位性を発揮できるのではないでしょうか。

また、蛇足ですが、「図書の国境を越えた流通が進んでおり、東大などの大きな大学は海外の文献を外国の書店からまとめて購入しており、国内書店は消費税の分値段が高くなり入札で負けてしまう」との話も伺いました。
自由貿易が進む中、消費税のあり方も国際競争の視点を含めて考えるべきだと思います。

SankeiBizに「産業の空洞化対策 イノベーション促進が不可欠」が掲載されました。

SankeiBizに「産業の空洞化対策 イノベーション促進が不可欠」が掲載されました。ご一読下さい。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120105/mca1201050501000-n1.htm

日本の失敗は神話にすぎない

1月6日付のニューヨークタイムスに「日本の失敗は神話だ」という記事が出ていると友人から教えてもらったので読んでみた。

 

「外から見ると見え方が違うのだな」と感じた。Japan has succeeded in delivering an increasingly affluent lifestyle to its people despite the financial crash. (日本は、金融クラッシュにもかかわらず、人々にますます豊かなライフスタイルを提供することに成功した)というのは日本人としては実感がない。ただ、以下の統計はそれなりに説得力があるように聞こえる。

  • 平均寿命が延びた:Japan's average life expectancy at birth grew by 4.2 years — to 83 years from 78.8 years — between 1989 and 2009.
  • 世界の高速インターネットが使える都市50のうち38が日本にある:of the 50 cities in the world with the fastest Internet service, 38 were in Japan, compared to only 3 in the United States.
  • 失業率は4.2%とアメリカの半分:The unemployment rate is 4.2 percent, about half of that in the United States.(統計の取り方が違うので単純比較できないが)
  • 日本の経常収支のプラス:Japan’s current account surplus — the widest measure of its trade — totaled $196 billion in 2010, up more than threefold since 1989.

つまり他の先進国が落ち込み、相対的に日本が良くなったとの見方である。

 

ただ、私は、欧米先進国との比較だけでなく、シンガポール、韓国、台湾、中国といったアジア諸国との比較分析がこれからの経済政策、産業政策において必要だと考えている。最近は韓国の競争力が日本と比較して向上していると報道されることが増えているが、ライバル同士が切磋琢磨することは好ましいことだと思う。

2012年のびっくり10大予想

米ファンド ブラックストーン・グループのバイロン・ウィーン氏は「びっくり10大予想」を発表


2012年の全10大予想は以下の通りです。訳はブルームバーグより



  1. 原油は85ドルに下落

  2. ○イラン制裁がどうなるかが原油価格に大きい影響をもたらします。こうなると日本経済にはありがたいですが。どうもシェールガスの影響で原油需要が落ちて価格も落ちると見ているようです。


  3. S&P500種は1400超え



  4. 米実質GDP成長率は3%超、失業率は8%未満に低下

  5. ○そうなるとオバマ大統領再選でしょうか?失業率が8%を超えると再選できないとは聞いたことがあります。


  6. 大統領選はバラック・オバマ氏対ミット・ロムニー氏に民主党は下院で勝利するが、上院では敗北

  7. ○大統領選はどちらが勝つのでしょうか?英語の記事を読むとオバマ大統領の勝利予測のようです。The recovering economy and the declining unemployment rate help President Obama convince the voters that he didn’t do such a bad job in his first term after all.


  8. 欧州はソブリン債危機の解決に向けた広範な計画を作成。ギリシャとイタリアが債務を再編。スペインとアイルランドが財政を強化。銀行のメルトダウンは回避。欧州経済は縮小。



  9. 主要金融機関へのハッカー攻撃

  10. ○これはありうるかもしれません。わが国も対応が必要です。


  11. スカンジナビアやオーストラリア、シンガポール、韓国など「自国経済を賢明に管理している」と思われる国の通貨買いに

  12. ○量的緩和をなかなか行わない日銀の通貨も上がるのでしょうか。なんとか円高デフレを解決しないといけません。がんばります。


  13. 米議会が今後10年間で債務を1兆2000億ドル削減することで合意。国防費やメディケア(高齢者医療保険制度)費用、農業への助成金、さらに一部の税控除をカットへ

  14. ○アジア太平洋方面の米軍予算は削減しないとの話がありますが、注視必要です。


  15. シリアのアサド大統領が更迭



  16. 中国、インド、ブラジルの株価指数が15-20%上昇

  17. ○中国のバブルがまだ続くとの予測です。

ちなみに2011年びっくり10大予想です。

(1) ブッシュ減税と失業者手当の延長措置が継続、雇用は上向き失業率は9%以下に。2011年の実質GDP成長率は5%に達する。(貿易と設備投資が伸びる)
などは外れています。

わざとびっくりするような予想にしている感じもありますが、今年の経済を考えるにはいい材料だと思います。

 

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